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8月28日のサイトウキネン・オーケストラ・フェスティバル

救急医療啓蒙ポスターをクリニックの待合室の壁に貼ろうとして、その作業中、脚立が突然父を乗せたまま崩落!!落下した父は左の踵の骨を骨折してしまいました。
5日前の話。
痛くて車の運転や長い距離を歩くのは自信がないとのこと。
小澤さん大好きの父は泣く泣くコンサートを諦め、急遽コンサートにいくことになりました。
夏休みを1日だけいただいて、車飛ばして松本にいってきました。
「骨折って痛いのね(涙)」・・・この道ウン十年の整形外科医のコメント。

それで、サイトウキネン・オーケストラの戦争レクイエムを聴いてまいりました。
今年は会場時間前に到着できたので記念撮影。

IMG_0186.jpg

開演時間から遅れて、舞台の上には3つの団体による成人合唱団とオーケストラ、客席に児童合唱団が登場。なんというか京王線朝8時近辺ののぼりの通勤電車なみですよ。
ついでに会場もほぼ満席状態。オケのメンバーにまじって小澤さんが舞台に登場です。ひときわ大きな拍手で迎えられます。

簡単なチューニングが終わり、指揮台の上に小澤さんが立ちます。会場も舞台も小澤さんだけに集中、静寂に包まれます。緊張度が増す瞬間。
最初の一振り、腕を振り下ろしたまさにその瞬間、会場に漂っているサイトウキネン・フェスティバルだ、お祭りだ、わくわく楽しいぜぃっていうモードが一瞬にして消えて・・目の前に広がるのは凄惨な戦場となりました。
レクイエムのテキストをはさみ、あの不幸な戦争の物語がはじまりました。

レクイエムの合唱(ラテン語)の後ろでオケが奏でる戦争の世界。機銃掃射の音、大砲の轟音、叫び声すら上げず倒れていく兵士たち。硝煙と砂埃、血の臭い、遠くで聴こえるラッパの音・・・負傷した兵士たちの呻吟、death rattleが聴こえてくるようで壮絶でした。そのうちオケや合唱団が、戦争で命を失った兵士や巻き込まれた名もなき市民たちの亡霊のように思えてきて、背筋が凍りつきました。マジで怖かった。
オケも最前列(1プルト)がバイオリン、ビオラ、打楽器、ハープ、木管楽器。
その後ろ2プルト目から超大編成のオケが囲むように展開します。舞台右手は木管奏者の後ろにビオラという違和感あるセッティング・・・兵士たちの物語を支える室内楽のコンマスは矢部さんだったのかなぁ。オケのコンマスが豊嶋さんだったと思います。
大渋滞のステージを仕切るのは、もちろん渾身の指揮をする小澤さん。たった一人で立ち向かっています。ああ、それなのに、なのに。ビジュアル的には合唱団最上段センターに玉座のようにしつらえた席のソプラノソロがこの舞台の中心に見えてしまいました。

荒れ果てた戦場風景と人間らしさを失った人々の極限の緊張、不安と恐怖、すさみきった心情を表す音楽。大人数の合唱団の神への絶え間ない祈りと、遠くから天使の歌声が折り重なるようにして音楽が進みます。胸に迫り、膝が震えてくるような怒り。曲にこめられた絶望、後悔、悲嘆、諦念、怨嗟・・ありとあらゆるネガティブな感情に息苦しくなりました。舞台の上も客席も酸欠になるかと思うくらい。

レクイエムもテキストどおりではなく、サンクトゥスに怒りの日が混じったり、キリエやピエ・イエズスがほんのワンコーラスだったり。レクイエムの間にテノールとバス、二人の兵士の歌(英語)が入ります。
オケには耳あたりのよい、美しくキャッチーなメロディーや華やかなハーモニーは一切ありませんでした。鐘の音が大混乱の世界を取りまとめるように鳴り響くたびに音楽が少しずつ展開していました。
とても印象的な鐘の音でした。

圧巻は終曲。怒りが最高潮になり、すべてのものが打ち壊され崩落していくような世界の中で始まる二人の兵士たちの静かな語り。戦場の景色も音も一切消えて、花崗岩の洞穴の中で語りが聴こえます。
ああでも。対立していた兵士たちはすでにこの世の人ではないのです。
死者だけの世界で、二人の兵士によるlet us sleep now・・・と美しい2重唱がはじまります。すると、天使の歌声(児童合唱)が彼らにそっと寄り添うように会場に響きます。その声は3階席から降りおりて、ホールに拡散してゆきました。
ゾクゾクしました。
そしてこの戦争レクイエムはこの瞬間に向かって進んでいたのではないかと感じました。

次第にいろいろなセクションが入り始め、それまで一緒になることのなかった演奏者全員での、死者の永遠の安息を祈る合唱と重厚なオケの演奏となります。
今私たちが生きているこの世界は、先の大戦で血を流し絶望の中で死んでいかざるを得なかった多くの命の上に成り立っていて、時代が違えばその中に自分自身や家族、大勢の知人がいたのだと思うと、客席で涙だらだら流しながら一緒に祈るような気持ちで最後の音を聞きました。

小澤さんの手が止まり 音がホールに吸い込まれ消えていく数秒間、固唾を呑んで聞いていた客席も舞台も静寂に包まれていました。物凄い拍手が沸き起こったところで あ、やっと2009年8月28日の松本に帰ってこれたと安堵しました。
もちろんスタンディングオベーション。

天上から降り注ぐ児童合唱がなかったら、聞き手として心理的にも精神的にもしんどくなるような音楽だったので、児童合唱団の歌には猛烈に感動しましたし救われた気持ちになれました。
児童合唱は松本の地元っこたち。素晴らしかったです。客席から舞台袖に現れ整列した松本っ子達は、緊張した様子で大きな喝采を受けていました。
舞台の大人たちも彼らに向けて拍手していました。中には席から身を乗りだしたり、身体をひねって(彼らの後方にいたので)彼らに体を向けてさかんに拍手する奏者さんもいて、ああ、舞台の上で緊張を強いられる演奏する皆様にも、この子供たちの歌が救いだったのかもと思ってしまいましたよ。

スタンディングオベーションの中で、小澤さんは独唱者やオケのひとたちと固い握手をかわしていました。鳴り止まない喝采に指揮台に上がったのはわずかの間でしたが、最大の惜しみない拍手が客席からも舞台からも送られていました。

IMG_01891.jpg

終演後昨年の最終日は、粘ってデマチまでしましたが、母を家に送り届けた足で東京に戻らなくてはならなかったのでなくなくあきらめ会場をあとにしました。
明日が戦争レクイエムの最終日。
どんなコンサートになるのかなぁ。

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