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Britten The Golden Vanity

民謡集にシュトラウス作品、コンサートプログラム風のアルバム、シューベルトミサ曲やモーツアルト、ハイドン、バッハを初めとする宗教曲諸々、ウィーン少の最新録音が集中した80年から90年代前半。
その旺盛なレコーディング活動には今からすると驚くばかりです。
そしてこちらのアルバムもそのひとつです。

The Golden Vanity wsk
アマゾンのリンク(輸入版)

珍しいことにドイツグラムフォンからのリリース。
ウィーン少とコルス・ヴィエネンシス、そしアンドレイ・ガヴリーロフさんのピアノ。
レコーディングは1992年6月,ウィーンとあります。
ちょうどこのあたりはシューコアが日本公演中、レコーディングを担当したコアのカペルマイスターは Miranda先生、音楽監督がMarschick先生とあります。
この年の9月にはAround the worldを同じコアで録音していますね。

リリースはなぜか2年後の94年4月。
今ではすっかり廃盤かつ入手困難。


収録曲は
1. Friday Afternoons Op. 7: 1. Begone, Dull Care!
2. Friday Afternoons Op. 7: 2. A Tragic Story
3. Friday Afternoons Op. 7: 3. Cuckoo!
4. Friday Afternoons Op. 7: 4. 'Ee-oh!'
5. Friday Afternoons Op. 7: 5. A New Year Carol
6. Friday Afternoons Op. 7: 6. I Mun Be Married On Sunday
7. Friday Afternoons Op. 7: 7. There Was A Man Of Newington
8. Friday Afternoons Op. 7: 8. Fishing Song
9. Friday Afternoons Op. 7: 9. The Useful Plough
10. Friday Afternoons Op. 7: 10. Jazz-Man
11. Friday Afternoons Op. 7: 11. There Was A Monkey
12. Friday Afternoons Op. 7: 12. Old Abram Brown
13. Holiday Diary Op. 5: Sailing
14. The Ballad Of Little Musgrave And Lady Barnard
15. Holiday Diary: Night
16. The Golden Vanity, Op. 78: A Vaudeville For Boys And Piano After The Old English Ballad

Friday afternoons
1933-35年にかけて作られた児童合唱曲集。
新旧とりまぜた英国の詩にブリテンが曲をつけた模様。
すべて英語歌詞なのであります。
合唱はほとんどユニゾンですがソロ曲、デュエットがあります。
登場するソロはGenort Furmann君(2,3,4,8)とMichael Maztner君(3,5,7,9)。
メゾよりのGenort Furmann君の清々しい声に聞き覚えが・・Around the worldでもいくつかソロを歌っている声だと思うのです。多分。
Michael Maztner君はその鈴をころがしたような音色の歌声でさらりと歌っております。
ワタシ、Maztner君のファンなのですよ。

お気に入りはCuckoo!とEe-oh!
Cuckooは唯一のソリストの2重唱です。
Maztner君のカッコウの鳴声をバックに、Furmann君がシンプルな旋律を歌います。歌い終わると2羽のカッコウになってハモるのですが、これがゾクゾクするほど美しい。続いてFurmann君がカッコウ、Maztner君が旋律を歌います。
ガヴリーロフさんのピアノが柔らかく、脇役に徹していてこれまたいいです。
歌詞もシンプルで示唆に富み、ブリテン素敵だわ。

Ee-oh!はユニゾンですね。.
元気いっぱいのユニゾン合唱とユーモラスなピアノで一緒にEe-ohと歌ってしまいます。
ラストのOld Abram Brownでは複雑な2部合唱です。
葬送行進曲のような沈うつなピアノに驚き。
執拗な歌と、爆発するような感情・・ブリテン不思議だわ。

こちらのアルバム、ネットで見る限りガヴリーロフさんのピアノは素晴らしいが 肝心な合唱は所詮がきんちょ合唱と評されていることが多いです(哀)。
ユニゾンでは、コドモが元気よく声を張り上げて歌うことで、生き生きと鮮明な色合い、くっきりとした輪郭の音楽が生まれているし、ソロやソリストのデュエットではボーイソプラノならではの魅力が満載。
そういう曲として聴くと面白いんだけどなぁ。→一応反論しているつもり。

確かに合唱はいろんな声が混じっていて、彼らの伝統であるびしっとしたユニゾンではないのですよ。
もしかすると曲が作られた30年当時の児童合唱スタイル、あえていうならコドモの地声風でウィーン少が歌っているように思えるのは、多分ワタシだけですかね? 

ピアノを担当するのはアンドレイ・ガヴリーロフさん。
聴いているとピアノは水気の多いぼたん雪のような音色。
ゆらゆらと透明で重い。
ブリテンのピアノ曲2曲SailingとNightを弾かれています。
音色とメロディーラインで脳がしびれるような音楽ですな。
ガヴリーロフさんは74年チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門の第1位を取られた方だそうです。(このときの2位のひとりがチョン・ミュンフン氏。現在は指揮者として活躍されていますね。)

Little Musgrave And Lady Barnard
コルス・ヴィエネンシスの登場、厚みのあるハーモニーとガヴリーロフさんのピアノがマッチしています。
男声何部だろう?
コルス・ヴィエネンシス激ウマです。
程よい甘さと安定感。
こちらの団体も、年代ごとに少しずつ合唱のカラーが変わりますね。

The Golden Vanity
1967年6月ウィーン少で初演だそうです。
モノクロのスチール写真がヴィテシュニックさんの本にありましたよ。
The golden vanity old photo1
The golden vanity old photo2

あの、上の写真左端 目を閉じちゃっているのはシャーリング少年ににていませんか??


英国の古いバラッドを下敷きにColin Graham氏とブリテンが製作しております。
元歌と歌詞は『The golden vanity、Britten』で検索するとMIDIで聴けるページが見つかりますよ。

ストーリーですが、ライナーノーツの歌詞を斜め読み+脳内超意訳でご紹介。
英国の方ならみなさんご存知なんだそうですよ。
英語はもとより、船の事はちんぷんかんぷん、生暖か~い目で見てやってください。

とある夏の午後。
金貨・銀貨をたくさん積んでLowland seaを航海中のゴールデン・ヴァニティ号。
ご機嫌で順調に航行していたのに、ところがどっこいトルコの帆船に海上で遭遇。
よくよく見るとマストに翻る旗にはどくろマークとcrossbones。
船長真っ青、マジやべえ、ありえねえ・・・。
帆を張り 舵を切って、全速力でなんとか逃げようとするのですけど、間に合わない。
あちらの船のほうも、もちろんお宝満載のゴールデン・ヴァニティ号を見逃すわけがありません。
双方の甲板では船長と甲板長の緊急戦術会議が始まり、ついにはお宝をめぐってのどんぱちがはじまります。
どど~んどっかぁぁん、海上に轟く大砲の音。
結局トルコの船のほうが優勢、ゴールデン・ヴァニティ号はマストを吹き飛ばされてこのままじゃ絶体絶命・・
お宝を奪われるのは必至、ついでに船長以下乗組員全員 人質ならぬ奴隷として売り飛ばされちゃう、メンバーだって絶対絶命。

大混乱の中、突如CabinBoyが名乗りをあげます。
船長大提督殿下、もしもおいらが海賊船を沈没させたら、どんな褒美をもらえますか、と。
船長以下全員ぽかん。
ありえねえ・・。

ええい、金貨でも銀貨でも全部やるさ、お前が大人になるまで十分すぎるくらいあるからな。
え、それじゃ足りない? 消えない温かいものがほしいだと?ええい、そんならオレのかわいい娘をやるさ・・・船長の一言で彼は海にどぼんと飛び込みすいすいと泳ぎ海賊船へ。
一方海賊船では大宴会の真っ最中、CabinBoyは水面下でなんと舟に穴を3つ開けるのです。
船の上では海賊さんたちは歌ったり踊ったり、おそらく酒のみながらさいころ転がしたり、カードゲームに夢中。
もちろん船に穴が空いて海水が浸入してきているとは露知らず。いきなり沈みだした船に大慌て。
全員海に飛び込み、ごぼごぼ、ぶくぶく・・・・船はLowland seaに沈没です。
一部始終を見ていたゴールデン・ヴァニティ号の船上ではやんややんやの大喝采。

ところが。
命からがら船のへりに泳ぎ着いたCabinBoyに対して船長と甲板長はでかした、あんたがヒーロー!と涙に咽ぶかと思いきや、お前には褒美なぞやらん、誰がそんなこと言ったのかなぁ、約束なんてしてないもんねぇ~と手のひらを返したようなすげない態度。
しまいにはロープだって投げてやらないもん。
危険を承知で、陸のうえでかわいい娘さんとの愛ある生活を夢見て必死で働いたCabinBoy、船長と甲板長のありえない態度に、絶望。
Lowland seaの冷たい水と船に穴を空けるという重労働ですっかり体力を使い果たしたCabinBoyは波間から顔を出し必死で懇願します。
助けて、助けて、おいらを船にひき上げて、このままだと海に沈んじゃうよ、・・・船の周りを泳ぎながら必死な叫びに クルーがたまりかねてCabinBoyを船に引上げたものの、かわいそうに船上で絶命。
クルーは号泣・・・CabinBoyの亡骸を丁寧にハンモックに包みそっと海へ。

CabinBoyの死んだ海上近くでは今でも、CabinBoyの助けて、助けて、波間に沈んでおぼれ死んじゃう前に助けて!という悲痛な叫びがきこえるとさ。

・・・ていうような内容でよろしいでしょうか?


緊迫感あるピアノの前奏、団員さんたちがステージを踏みつける足踏みの効果音、込み入った合唱で物語の勇壮な世界が始まります。
ブリテンの複雑怪奇な旋律なんてなんのその、2人の船長役はメゾ~アルトのソリスト君たちです。
それぞれが個性のある歌いっぷりで、のびのびとそれぞれの役を演じています。
さすがオペレッタで鍛えられただけあります。

ゴールデン・ヴァニティ号の船長役をWolfgang Wieringer君、豪快な高笑いが耳に残る海賊船の頭領がThomas Weinhappel君、GoldenVanity号のクールな甲板長がGenort Furmann君。
出番が短い海賊船の甲板長がMark Bittermann君とあります。
合唱チームも海賊チームvsとゴールデンヴァニティ号組に分かれていました。
こちらではFriday afternoonsで若干ゆるめの合唱を歌っていたとは思えないくらい 歯切れのよい、生き生きとしたアンサンブルでして、これこそウィーン少です。

CabinBoy役のマツナー君の声はいろんな意味で無垢なCabinBoyにぴったりです。
船の周りを泳ぎながら、息も絶え絶えに助けてと懇願する歌や、海の中に沈みかけていくシーンはエフェクト効果もあり、聴いているほうが凍えるくらいに凄まじいものがありました。
若干単調に聴こえないこともないわけではないのですけど、声がずばぬけて美しいのでこれでいいのです

ウィーン少の十八番だったオペレッタに登場する可憐なお嬢さんや純朴な娘さんの姿、恋のさやあてといった他愛もないストーリーとは真逆の世界。
硬派な閉ざされた、男ばかりの世界、登場人物も全員男性のみ。
ええ、ついでに演奏者たちもオール男子。
伝承の物語とはいえ、暴力、裏切り、死・・・ブリテン特有のとがったスパイシーな音楽。
ブリテンはこの作品にとりかかる少し前、ウィーンを訪れて、現地で彼らの歌を聴いたのかどうかは詳細不明ですけど、彼らのためにこの歌を作ったそうです。
世界的に有名な彼らのために、というわけではりませんが、歌うのがコドモであっても、複雑なメロディーと和声をふんだんにちりばめ、スキル的には容赦ないです。多分。
90年代前半のメンバーでこれだけの作品に仕上がるのだから、プレミエだった67年当時はいかほどだったんだろう・・と気になってしまうところです。

さてピアノのガヴリーロフさん、途中まではボーイズの歌にあわせて押さえ気味な演奏をしていたのに、後半押さえ切れなくなったのかわかりませんがピアノこわれるんじゃね?的な演奏をなさっています。
ウィーンの先生方の穏やかで楽しげなピアノに慣れてしまったワタシは「ピアノでけえ」
とはいえ、耳が慣れてくるとガヴリーロフさんの格闘技で言えば無差別級のようなピアノによって、ブリテン作品の独特の雰囲気と緊迫感と重厚感が生まれているかも・・なんて思います。


うわ、久しぶりに記事を書いたらやたら長くなってしもうた。(汗)
読んでくださった方ありがとうございまする。


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